電極活物質・透明電極の研究に取り組む高橋氏に聞く!
■薄膜状で大容量の電池というのは、どのように作るのですか?
リチウムイオン電池は、中央に電解質があり、その上下にある正極と負極の間にリチウムイオンが流れています。そのリチウムイオンが電極にたまってもいけないし、なくなってもいけないため、固体電解質の能力を活かすためには、電極もうまく作らなければなりません。電極は、面積が広い方がより多くの電気を通すことができるため、今回の研究では、ナノ粒子を数多く使うことで表面積を大きくしようとしています。
■表面積を大きくするために、ナノ粒子をどのように使うのですか?
「エアロゾルポジション法」という100nmくらいのナノ粒子が分散した気体を真空槽内の基板に吹き付け、室温で成膜する手法を用いて、表面積が大きく高容量を実現する電極活物質を作製しています。また、金属酸化物ナノ粒子による透明電極の形成に取り組んでいます。
次世代シートデバイスに用いるリチウム二次電池は、フレキシブル基板の上に透明電極-負極-固体電解質-正極-集電体が重なった状態のもので、すべて固体でできています。そのため、固体同士が接触する界面の最適な構築手法の開発も研究しています。
■この研究の難しいところはどんな点ですか?
私たちの研究している電極活物質や透明電極と、辰巳砂教授が開発している固体電解質を組み合わせ、フレキシブルな高分子基板に内蔵できる薄膜状のリチウム二次電池を試作し、評価を行っています。何回も繰り返し使えるか、体積変化はしていないか、不要な結晶ができていないか…実現に向けてクリアすべき点は多々あります。こうした評価・研究を積み重ね、安全性や信頼性が高く、大容量かつ長寿命の二次電池を実現したいと考えています。
■この研究の醍醐味を教えてください。
現在開発している「固体電解質を用いた薄膜状リチウム二次電池」は、ニーズが高く、社会貢献できる技術であることから、とてもやりがいを感じています。課題としてのハードルは非常に高いので苦労することもありますが、幅広い領域で応用展開できるという可能性が、日々の研究の支えにもなっています。
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