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  超臨界状態の水を使って、環境に優しく、
短時間で大量の金属ナノ粒子を作製する方法
   
 
 
 

公立大学法人 大阪市立大学 大学院
工学研究科 化学生物系専攻
応用化学科 教授
工学博士 米澤 義朗
(2008年3月末日をもって定年退職)

       
 
 
 

公立大学法人 大阪市立大学 大学院
工学研究科 化学生物系専攻 准教授
博士(理学)  米谷 紀嗣

 


水熱合成プロセスに取り組む
米澤教授と米谷准教授に聞く!


■超臨界流体を反応場とする水熱合成プロセスでは、どのようにナノ粒子を作製するのですか?

どんな物質でも、縦軸に圧力、横軸に温度をとって、どの状態で気体・液体・固体となるかという状態図を作成できます。すると、あるところで気体と液体を分ける境界が消え、液体と気体の区別がつかなくなる状態があります。それを超臨界と言うのです。水などの超臨界流体を反応の場とした、金属ナノ粒子の作製に取り組んでいます。作り方はとても簡単で、溶媒となる水やアルコールと、金属塩と保護剤を混ぜ、超臨界の環境をつくれば、自動的に反応が起きて金属ナノ粒子ができます。圧力などの条件や保護剤を調整していけば、サイズや形のコントロールも可能です。


■この製法の特徴を教えてください。

この製法では有害な有機溶媒は使わず、主に水を使うため、無害で無尽蔵で環境に優しいという特徴があります。また、反応の速いプロセスで連続的に合成できるため、大型化・大量合成に向いており、応用展開しやすい方法です。現在は、効果的な還元剤の研究や反応システムの改良を行っており、より均質なナノ粒子を作ることができるようになってきました。また、反応器には窓をつけているため、ナノ粒子生成過程を観察したり、光を照射して光触媒反応を用いた研究も進めることができます。


■環境負荷を軽減するということも開発のポイントだったのですか?

私たちは環境に優しいグリーンケミストリーを軸に置き、反応化学という分野の研究をしています。これまで、化学はさまざまな発展を生むとともに、有害なものも生み出してきました。私たち化学者には、化学が生み出した有害なものを自分たちで分解し、再資源化していくという使命があると考えています。そのため、今回の金属ナノ粒子製法開発においても、環境負荷の少ない製法にはこだわっていきました。


この研究の醍醐味を教えてください。

金属ナノ粒子をつくるということには、もともと興味があり、光触媒についても数十年の経験があります。しかし、従来の光触媒は主に常温常圧で行われていました。それが高温高圧状態でどのような反応を示すのか、新しい可能性を見いだすことができるでしょう。また、高温高圧状態は深海底のマグマで起きている現象に近いと思われます。そういう状態で何が起きているのだろう、という素朴な疑問にも答えを見いだせるかもしれません。
 
   
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