■固体電解質を使うメリットは、どういうことがあるのですか?
固体電解質は燃えにくく液もれもしないため、安全性の面で優れており、心臓のペースメーカーなど体内で使う医療機器などにも応用することができます。また、液体の中ではプラスとマイナス両方のイオンが移動していますが、固体電解質の場合はプラスのイオンだけが動くため、無駄な動きによる副反応などが起こりません。
■開発にあたって苦労されている点はどんなところですか?
私は約20年、固体電解質の研究をしてきましたが、難しい点は固体の電極との接合です。固体と液体の間にはスムーズな界面ができますが、固体同士ではなかなかうまく接合させることができません。そこが、研究の大きなポイントとなっています。固体の表面が接している面は、ナノオーダーの世界です。そこで本事業では、ナノの膜を用いて界面を制御していこうと考えています。また、電池の体積が少なくなるということは、電気をためる容量が小さくなるということ。つまり、あっという間に電気がなくなってしまいます。かといって体積を大きくするために厚くすると、流れる電流量が少なくなってしまいます。こうした問題も、ナノサイズの電極を多数用いることで解決できるのではないかと考えています。